STRATHISLA |
美しすぎて 近づけない・・・ 遠い過去から 大切にしているから 僕は聖域に なかなか近づけないままで・・・ けれども 聖域には,一歩手前で 眺めている時が 幸せなこともある 僕がなにより好きなモルトは,ストラスアイラ. 香り,味わい,そして・・ 蒸留所が描かれたボトルラベル. 一目ぼれだった. 「妖精の伝説まであるのだから・・」 バーテンダーが僕のグラスに ストラスアイラを注ぎながら,呟いた. そう・・・ すべてが,調えられた美しいモルトだ. 水の精が現れる貯水池の清水が, このボトルのなかに込められている. 僕のグラスのなかで, たおやかに輝くストラスアイラ. ゆっくりとゆったりと味わうのに相応しい. 目を綴じると, 琥珀色に描かれたラベルが・・ 色彩を帯びて浮かび上がった. 目を綴じて,いつくしみたいもの, それは手にすることを躊躇うほど, 大切で美しいもの. 今夜は, とても静かで ストラスアイラに 一目ぼれをしたあの夜のようだ. 僕の手元で今,きらり記憶が甦る. |