MORTLACH |
満ちたりていること それは,うるわしい ささやかな恵みのつみ重ね 幾重にも,幾重にも, ゆたかに調えられていく まどかなる月のごとく・・・・ 決して,より多くは望まないことの美しさ 朝早く,夢を見た. 今年,初めてその記憶が躰に染み込むような夢. 今夜はひとり,その夢の記憶を辿りたいと思って, この店のカウンターを選んだ. モルトは,モートラック. バーテンダーに選んでもらった. 夢の中で僕は, 宇宙船に乗って旅をしていた. 子供じみた,戯言と嗤われてしまいそうだ. 月がきれいだった. 満月・・・ 宇宙船の窓から満月を眺めていた. 隣には,僕の愛する人が. 同じように窓から,満月を見つめている. 彼女が僕に満月がきれいねとささやく. 僕が少し俯くと,彼女の頬に僕の髪が触れる. ただ,それだけの夢. ほんの僅かな時のはずだけれど, なにか永遠に続いていくような気がする・・ 満ちたりたひととき. 「家に帰って,今朝の夢の続きをみたいんだ. ほどよく,澄んだ気持ちのままで酔いたいな」 カウンターに座って, 僕はバーテンダーに頼んだ. 僕の隣にいた,彼女は, 誰だったのだろう. 夢の中では,僕の愛している人だった. 現実の僕のめぐり逢っていない人. 愛する人とめぐり逢うこと, 満ちたりるということ, それは,一瞬に叶うことではないらしい・・・ それは,宇宙船で旅ができるほどに. それは,月が満ちてはかけていくように・・ モートラック・・・スペイサイドモルト 芳醇、まろやかな美酒 フルーツ香の豊かなバランスの良い香り ブレンドで誰にも知られるジョニー ウォカーの原酒 ゲール語で「椀状のくぼ地」 |