LINKWOOD
 

花の季節
それは,毎年訪れるもの

どこでどんな風に咲いていても
花は,光に照らされれば輝き
風に揺れ
時の経過とともに花びらは舞う

それは,当たり前過ぎることだけれど
うつくしい


ボトルラベルが美しくて,
なかなか選べないでいたモルト,
リンクウッド.
ジンのカクテルを続けて飲んだのに,
酔えないでいる・・・と,
美しいボトルラベルがふと,思い浮かんだ.

向こう側の景色が透ける
透明感のある琥珀色.
白地のラベルに二羽の白鳥が描かれたラベル.
シェリーの香りと,おっとりとした甘さ.

毎年,蒸留所の冷却水を貯めておく池に
飛来してくる白鳥が描かれたと,モルトの本で
読んだことだけは記憶していた.

毎年,咲く花・・・
毎年,飛来する鳥・・・
それは,語り尽くして通い合うよりも,
とても深い愛情と繋がりを感じる.

「名前通りに,飲んでいると深い森の中にひとりでいるように
   身体がしんと静まりかえるようですね」
バーテンダーが呟いた.
「あまりに,名前もラベルも美しいから,
   男性にはおすすめしないのだけど」
バーテンダーは,小さな声で言う.
「そうは言っても,女性にもカップルにも
   何故だか僕は、すすめられないんですよ」

深い森の中に
永遠に湧き続ける泉
その清水に
辿りつき,飛び立つ白鳥

この二羽の白鳥は,
来年も必ず
飛来するに違いない