ISLE OF JURA
 

いつも,傍にいるということ.
これはなかなか,
難しいことだ.

時に良さが,見えなくなってしまう.

けれども,傍にいないと,
心穏やかでなく・・・・

自分の我が儘をさらりと
受け入れてくれる存在が,
かけがえのないことだけは確かだ.



この店のバーテンダーは,
僕がカウンターに落ち着き,なにも告げないと,
10分後には必ず,
アイル・オブ・ジュラをロックで用意してくれる.
少しだけ笑顔を見せて.
僕は少しだけ,肩の力を抜く.
アイル・オブ・ジュラは
家でもよく飲むモルトだ.
僕の傍にいつもいる.

バーテンダーがカウンターの中で,
グラスを磨いている.
彼がスコットランド,旅先で手に入れたグラス.

僕の二杯目のアイル・オブ・ジュラは
このグラスに注いでくれるのだろう,
きっと.

いつも傍にいてくれるということ.
一生をともに出来る存在があるということは,
実は自らの生きている喜びに
きらきらと細い糸で繋がっている.